香嵐渓の紅葉

秋も深まりつつあるが、相変わらず昼間は暑い日が続く。僕達は年1で紅葉を楽しむ習慣はないが、道端の黄色く色づく木々を眺めていて、ふと思いついて香嵐渓の紅葉を見にいく事にしたのだった。数年前に訪れたことはある、その時は観光客でごったがえしていて、近隣の駐車場は満席、確か歩いて10分位の市営球場のような場所に車を止め、人混みの中を白い息を吐きながら歩いた記憶がある。赤く色づいた、もみじや眩しい程黄色いイチョウの木々は綺麗だったが、子供が小さかった事もあり、すごく大変だった事をよく憶えている。

入り口にある看板
見頃より少し早かった

上高地に紅葉を見に行った時もそうだったが、見頃に対して少し早いか遅いか、になってしまう。僕があまり計画を立てる人間ではないのが原因だが、まぁそんなには気にして無い。家族は分からないが、僕はそうであって、でもあれは良かったなどといって無計画さをごまかしている。娘2人はすごく楽しんでくれていたので問題はない。

入り口付近に、お土産屋とトイレがある。前回はここでジャンボフランクを食べた気がする。

入り口付近のトイレ

少し長い距離を歩く事になるのでトイレは済ませておこう。近くにあったサメ釣りの屋台に子供が気を取られていたが引っ張って連れて行く。

緑と黄色と赤のコントラストが綺麗

散策路に入ると木陰がとても涼しい、散歩をするにはもってこいだ。平日というだけあって観光客は少ない、ゆっくり見物できて良かった。たまには学校を休ませて遊びにいってもいいと思う、熱心な教育ママにはおこられてしまいそうだが、子供だってたまには息抜きもしたい。

道すがら、とても立派な杉の木がある。熱田神宮や伊勢神宮のそれには及ばないが、かなりの樹齢のものだろう。触ってみると当然だがびくともしない、少し湿り気があり冷たい。

そこかしこに休憩場所もある。小休憩を挟みながら紅葉を楽しむ。近所に住んでいる人は毎朝の散歩コースにしているんだろうか?夏も緑を楽しめるし、ここなら空気が澄んでいるし、幾分か涼しいはず、散歩コースとしては最高だろう。まぁ近場にあるから逆に足を運ばないって事もあるだろう。田舎に住んでいて普段から自然に囲まれている人たちが、わざわざキャンプしないのと同じことだ。いずれにしても贅沢なことではある。うらやましい限りなのである。

中腹ある立派なお寺、香積寺(こうじゃくじ)といい、1427年(応永34)に建てられたもの。若い団体さんで賑わっていた。神や仏は信じないが、願掛けとしてお参りする。信じない割には願い事を言う前に、住所と名前を正確に言い、願い事は6つ程お願いした。よくばりすぎだが仕方ない、お願いして叶うなら欲張っておく。

もみじの形の絵馬が可愛い

しばらく歩くと1980年代の暮らしをみる事ができる施設がある。有料ではあるが、中々面白い。昔の小道具から生活が垣間見える。機織機、桶、鍛治、和紙作り、藍染めなど、一部は体験ができる。

何のために使う物かわからない事が多い、手仕事をしている女性がいるので、疑問に思っていたら、丁寧に教えてくれた。

薪を運ぶ背負子。リュックなどまだ普及していない時代、必要な機能のみのシンプルな道具だが、ショルダーベルトは色鮮やかだ。遊び心はある、昔の人たちもお洒落を楽しんだということだろうか。

大きな黒い梁の存在感がすごい。天井が高いため、圧迫感がまったくない、むしろ豊かさを感じる作りだ。茶色く光る床や家具達は年月とともに風合いを深めている。

機織機も年季が入っている。こんな道具から大量生産の工業製品にはない、暖かなものが生まれるんだろう、機織機を使える人が今どのくらいいるんだろう。多くはないと思うが、その手法は細く脈々と受け継がれていくんだと思う。

桶屋の中、こんな風に様々な手仕事の当時の風景を見ることができる。ただの展示だけではなく、家屋の中には実際に作業されている方がみえて、有料ではあるが体験することも可能だ。左手奥の壁には、木の皮を剥ぎ取るための刃物が並んでいる、その横にはカンナが並ぶ。インテリアではなく真に必要なものが並ぶその空間は、とても美しく映る

草鞋を編む女性と籠に並べられた草鞋。植物から作られる履き物、冷静に考えると驚く。束ねられた草がこのように形作られるのはまるで魔法のようだ。

染め物小屋にかけられた藍染の暖簾(のれん)。ここでも実際に物作りを楽しむことができる。僕も子供達と共に手拭いを染めることにした。まっさらな手ぬぐいにビー玉を入れ込み輪ゴムで止めたり、洗濯バサミで挟んだりした後、大きな青いバケツの染料のなかに沈ませる。3回程漬け込んでは搾りを繰り返し、水で洗う。大変な作業で、思ったより青くならない事がわかる。まぁ一朝一夕ではできないという事だ。

炭を作る小屋。正直言って炭の作り方なんて知らなかった。焚き火後の燃えかすと炭とが違うことは皆さん分かるとは思うが、用は直接火を付けず、高温の窯の中で燃やすという行為が必要なんだそうだ。今はどのように製造するのかは分からないが、炭を作るのにこれだけの設備が必要なのだ。今後は炭の使い方を最小限にしたいと思う。

紅葉はいいが、腹が減ったらどうするんだという方も心配無用。たくさんの出店があり、焼き栗や各種甘味、刀削麺、胡麻団子などなど種類が豊富だ。ちょっとした祭りにでも紛れ込んだかのような不思議な雰囲気だった。だんだん空が暗くなってきた、ライトアップが始まる前に十分に腹を満たしておこう。

一通り楽しんだ頃にライトアップが始まった。光の陰影によって立体的にそして力強く樹々が浮き上がるようだ。我が家にも何本か植物を植えていて、僕の嫁はライトアップしたいと言うが、僕はあまり気乗りがしない。明るいうちに頑張って二酸化炭素を酸素に変換する仕事を終えたのに、暗いうちに光を当てたのでは大変ではなかろうかと思うのだ。しかし紅葉を見ていると自分勝手だがシンプルに綺麗だと思ってしまうのだ。僕1人がそんな心配をしてもどうしようもないので素直に楽しむ事にした。

昼間見た時とはまた違う景色が楽しめるのが魅力である。橋の赤が紅葉と相まってとても綺麗だ。小さい頃に家族で香嵐渓に来た時の記憶はこの赤い橋だけだ。子供なので景色なんかに関心がないのは仕方ないが、ぼんやりと覚えているだけでもそれはそれでいい思い出である。2人の娘たちの記憶にも僅かでも残ってくれると嬉しい。

まだ色付いてない部分も見応えがある。緑の溢れる夏に訪れれば、また違った素晴らしい景観を見る事ができるだろう。感動しすぎて家族全員疲れ切っていた、ライトアップ等でお膳立てされると見るところばかりで集中していたからだろうか。なんにせよ良い時間を過ごす事ができので皆さんにも是非、香嵐渓の紅葉鑑賞をお勧めしたい。

小京都、高山といえば大袈裟になるが、古い小さな路地を歩きながら、駐車場へと歩く。本当によく眠れそうだ、40近くになってきたので体のあちこちが小さく悲鳴をあげている。

それではみなさん、またどこかの良い場所で会いましょう

バイバイ

プロフィール
この記事を書いた人

キャンプ歴10年、生涯キャンパーを自称するオヤジ
2児の父
趣味は読書に散歩にDIYと、もちろんキャンプ
キャンプにまつわる、あれこれ雑記ブログ。

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